2024年に発行された佐藤一繝さんの「TEZMO SYNDROME」。
鉄道ホビダスでのマンガ連載をまとめた単行本ですが、
ライトなトーンと思わせつつ、扱うテーマはかなり深く、
かつての鉄道模型の世界への憧憬も感じられる、私にとってはたまらない作品です。

読んで初めて知ることも多く、あまり論評するほどの資格は無いのですが、
ここではやはり「ストラクチャー」への言及に注目したいところです。
現在(2025年12月)時点で既刊2巻ですが、ここでは1巻を中心に見ます。
(以下、特記ない限り同書より引用)
そもそも巻頭カラーの2ページ目から「青い木造駅舎」を出してくる辺り、すでに只者では無い印象を受けたのですが(笑)、

TOMIXの「成形色」の手堅さは、ここで言及されて改めて認識したところです。
そうなんですよね、なればこそ・・・フロアレイアウトにポンと置いても一定のリアリティを持って成立してしまうという。
建物とはズレますが、113系の中古を集めて走らせるシーンも、疾走感と喜びを隠せない主人公の表情が良いですね。

このページのちょっと前にある「どうってことない整備でも、手をかけると何となく自分のモノになった気がしてウレシイ」という表現も刺さるものがあります。自分なりにでも手を動かすことの大切さというか。

ほか、建物について割とメインで触れているのは、
case04の「建設的な話をしよう」とcase11の「向こう三軒両隣」です。
あまり取り上げすぎると引用の範疇を超えるので控えますが、case04ではあのグリーンマックスの「車上駅」が登場。
浅草線西馬込駅との類似性もさることながら、その後で出てくる主人公の妄想の分かり味が深いです。
電光掲示板、大型化、屋上遊園地などなど・・どれも一度は考えたことがあるものですし、
そんなことを妄想しつつ「部品を眺めるだけでもひとしきり楽しめる」んですよね。

この後キット名に対してツッコミを入れるのですが、確かにあまり聞いたことがないですね。
また、跨線橋を突き刺す構造は、確かに子供心にも豪快だなと思わせるものがありました。
この構造の複雑さが、またそそる感じがあるのですよね。
「向こう三軒両隣」のほうは、トミックスの商店セットがテーマ。
こちらも加工と共に、ミニジオラマのアイデアを色々と考えます。

「ホンモノのリノベーションよろしく、店主の気持ちになって改造プランを考えるのも
またオツなひとときなのだ」というのは、まさに実践したいところですし、
商店セットについて「シンプルで頑丈で、かといってトイライクということでもない。
『必要十分とは、こういうことを言うのだろう』」という評価も正鵠を得ているように感じました。

もちろん建物以外も含めて得られる知識は多いのと、最終ページのカットも思わず見入ってしまいますが
そこへの言及は何となくオチのような気がするので、ここでは止めます。
2巻にもストラクチャーへの言及はあるので、機会があったら別稿で。